電子書籍
アップル、グーグル、マイクロソフト~クラウド、携帯端末戦争のゆくえ~
著者 岡嶋裕史 (著)
クラウドとは何か? 各社が参入を試みるスマートフォンやスレート型の携帯端末の役割は? そして電子書籍の未来は? アップル、グーグル、マイクロソフト、そしてアマゾンなど、クラウドやスマートフォン、電子書籍をリードする代表的企業の戦略を解説し、クラウドでも出遅れた日本企業の生き残り方法を模索する。クラウドと、クラウドの「窓」の役割を持つ携帯端末の意味と役割が2時間でわかる!
アップル、グーグル、マイクロソフト~クラウド、携帯端末戦争のゆくえ~
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紙の本アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド、携帯端末戦争のゆくえ
2010/08/20 23:14
クラウドと携帯端末を巡る各社の熾烈な戦い
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルだけを見れば米国大手IT企業だけを並べただけだが、クラウドと携帯端末を巡る各社の熾烈な戦いを描いている。
クラウドという新たなルールの下での競争が激化しているが、日本企業は既に出遅れ感がある。著者が本書で3社を選んだのは、業界をリードしていることもあったであろうが、クラウドサービスの内でも「PaaS」(Platform as a Service)にこだわったからだと言う(アマゾンもIaaSを提供しているが、PaaSへ移行中として、ここでは外している)。クラウドは大雑把に言えば、IaaS、PaaS、SaaSの三層構造になっている。その中でPaaSは「汎用的、かつ最大の利用者を集め、クラウドの喉元を押さえる」サービスということらしい(第2章)。また、「プラットフォームを握った者がその分野の覇権を握ることが多い」という捉え方もしている(第4章)。いずれにせよ、PaaSの領域は既に上記の大手らが握っており、規模からして日本企業が入り込む隙もない。本書はこの3社を中心に分析しながら、今後のコンピュータやネットサービスの行方と、その中で日本の立ち位置をどうすべきかを考えようとしている。
クラウドはそれだけでは「ただの雲」だが、そこに接続しサービスを提供してもらうための端末も、もう一つの戦場である。 iPhoneやiPadしかり、Android搭載ケータイしかり。クラウドと携帯端末の連携がポイントになる。
クラウドでは日本企業の勝ち目がないとすれば、出番はやはり(国内向けの)SaaSと端末製造だろうか。著者も日本は「クラウド上で動く一分野でトップを取る戦略」(第6章)だろうと考えている。国内市場もそれなりの規模があるからよいかも知れないが、あまりに内向き過ぎでは少ないパイの奪い合いに終始することになる。また、携帯端末製造もお家芸かも知れないが、台湾や韓国メーカーなど海外勢も頑張っているから、うかうかしていられない。
モノづくり国家・日本だが、それだけでは苦しい状況である。サービスと組み合わせて、新たな価値を創造していかないと稼いではいけない。自分らで新しいルールを作り出すくらいの気迫、構想力が必要だ。