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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.8
  • 出版社:

月と蟹

「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。何でも」家にも学校にも居場所が見つけられない小学生の慎一と春也は、ヤドカリを神様に見立て、ささやかな儀式をはじめた。お金が欲しい、いじめっ子をこらしめて……ねじれた祈りは、やがて大人たちに、そして少年たち自身に不穏なハサミを振り上げる──鎌倉の風や潮のにおいまで感じさせる瑞々しい筆致。少年たちのひと夏が切なく胸に迫り、深い余韻が胸を衝く、道尾秀介の直木賞受賞作!

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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.8

評価内訳

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紙の本月と蟹

2011/09/22 08:31

奇妙な直木賞受賞作

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 第144回直木賞受賞作。
 鎌倉近くの海沿いの小都市を舞台に小学五年生の慎一を主人公にして、その屈折した精神世界を秘密の場所でもヤドカリを使っての遊びと連動させて描いた長編作だが、この作品の何がよくて直木賞を受賞したのかがよくわからなかった。
 そこで、受賞時の選考委員たちの選評をあらためて読んでみたのだが、どうも評価がいま一つぱっとしない。
 渡辺淳一委員は「なんとも内攻的で独善的すぎる」とし、「現実の人間への迫力は薄く、ご都合主義で軽すぎる」と言い切っている。北方謙三委員は「暗く、重く、歪みすぎてもいる」と書きつつも、「凡百の少年小説から一頭地を抜けた」と評価もしている。
 しかし、この評価には首を傾げる。
 小学五年といえども一個の人格を形成しているだろうが、この物語に描かれた慎一という主人公もその友人の春也も身体的には子供でありながら、その内包されたものは大人のそれである。
 物語を読みすすむうちに、一体彼らは何歳なのかわからなくなるほどだ。彼らの年代であればもっと無邪気に悪意に取り込まれるはずだ。あまりにもそれは意識化されすぎている。
 だから、この物語をもって「少年小説」というのは、渡辺委員の言葉に寄り掛かれば、「ご都合主義で、軽すぎる」。

 興味をひいたのは宮城谷昌光委員の評で、この作品の文体を評価しつつ、最後にこう書く。「それはそれとして、道尾氏の小説が候補作品となる回数はふえた。そろそろ直木賞というステージを通過させてあげたい」なんて、まるで直木賞はどこかのスタンプセールの様相である。
 直木賞にしろ芥川賞にしろ新人賞であるからとやかくいうこともないが、「直木賞は作品に渡すのか、それとも作家に与えるのか、いつも議論の大きく別れるところ」という一文で書き始めた林真理子選考委員も、「作品的には決して評価が高くなかった」が、受賞に至ったのは「道尾氏が広範囲な読者を獲得し、現代の小説シーンに欠かせない人」だからだそうだ。
 もし、すでに道尾氏が広範囲な読者を獲得しているならあえてここで直木賞を出す意味がよくわからない。

 とても奇妙な受賞作だ。

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紙の本月と蟹

2011/07/01 20:25

松本清張の『鬼畜』『影の車』『霧の旗』あるいは貴志祐介『青の炎』といった傑作を思い浮かべてしまいます。救いがあるように思えた話が、どんどん暗くなっていって、目が離せなくなる、そういう作品です。

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

なかなか渋い写真です。カバー上半分を占める砂浜に押し寄せた波が退いていくであろう瞬間の泡の様子と、波を照らしている月明かりの影が砕け散る様子が。その点、下半分のものは、駄洒落で〈つきなみ〉。もちろん、それを使ったカバー後ろも平凡。なんで、上のモノクロ写真だけで勝負しなかったのでしょう。タイトルを意識しすぎた? これについては、写真の仁礼博にではなく、装幀の関口聖司に聞いてみたいところではあります。

で、このお話、正直、タイトルとカバーからでは全く内容の見当がつきません。ま、海と夜が関係するんだろうな、っていうことくらい。出版社のHPを見ると、内容について
                   *
きっと生涯忘れない、子供たちとカミサマの物語

「ヤドカミ様、僕の願いを叶えて」。行き場のない思いを込めた他愛ない儀式がやがて……。子供たちの切実な心が胸に迫る俊英の傑作!

小学生の慎一と春也は「ヤドカミ様」なる願い事遊びを考え出す。100円欲しい、いじめっ子をこらしめる――他愛ない儀式はいつしかより切実な願いへと変わり、子供たちのやり場のない「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。注目度ナンバー1の著者による最新長篇小説。鎌倉の風や潮のにおいまで感じさせる瑞々しい筆致で描かれる、少年たちのひと夏が切なく胸に迫ります。(YH)
                   *
とあるので、子供が主人公であることだけはわかります。道尾にしては珍しいかな、と思いました。『光媒の花』にだって子供が登場しますし、未読ではありますが『向日葵の咲かない夏』もそうらしい。『花と流れ星』だって子供の存在は大きいし、『カササギたちの四季』には中学生の少女が登場します。ま、小説においては家族は重要なものですし、その構成員である子供の占める割合が小さいわけは無いのですが、でもここまで大きくはなかった。

子供を中心に据えたからでしょうか、登場人物は多くありません。まず、利根慎一がいます。二年前、小学三年生の夏に鎌倉市にほど近い海辺の町に引っ越してきた少年で、主人公です。引っ越してきたこと、父親が亡くなっていること、貧しいこともあってクラスにいまだ溶け込まず、友だちもいません。ちなみに、この町に慎一一家がやって来たのは、父親の政直が勤めていた東京の商事会社が倒産したことによります。

社宅を出ざるを得なくなった政直は、一人暮らしをしていた祖父と同居するために、この町に来たものの、一年前に病死しています。ですから、今の家族は、父方の祖父で、もとは漁船の船長、十年前に、自身が操縦していた船の事故で左足の半分を失った昭三と、夫の死後、近くの漁協でパート扱いの事務員をやっている母の純江、そして慎一の三人ということになります。

一家を支えるのは純江の収入と昭三の年金、そして事故に関連して船会社から振り込まれた保険金で生活しているのですから、貧しい、という言葉が正しいかどうかは別にして、余裕がないことだけは確かです。孤立、ということで言えば、慎一だけではなく家族そのものが鎌倉で孤立している、というほうがあっているかもしれません。

そんな慎一が転校してきた二年前、最初に話しかけてきた同級生の裕福な家庭の美少女が、葉山鳴海です。大学の研究者だった母は十年前、昭三が船のスクリューで左足半分を失った事故を起こした船に同乗していて、海に投げ出され死亡している、というところに因縁を感じます。父親は名前の知られたガラス会社の営業部長です。

富永春也は、慎一の同級生で、ただ一人の友人といってもいい存在です。春也も慎一と同じ転校生なので、相手にされないもの同士が自然に身を寄せ合った、という雰囲気です。春也には父親から虐待されている気配があります。

前半の雰囲気は、のどかです。鎌倉に近い町という設定ですが、都会の匂い、特に東京の影響が殆ど感じられません。時代感覚だって、慎一が仲間はずれされている原因の一つとしているゲーム機のことについて触れられていなければ、鳴海の父親が自家用車を乗り回していることがなければ、昭和40年代の話としても少しも不自然ではありません。昭三が見るテレビはニュースと野球。食べるものも、魚を中心とした煮物とお酒。

慎一と春也が遊ぶ場所にしても、寺であったり海辺であったり、海を見下ろす山であったりします。そして何をするかといえば、海で生き物を捕まえ、観察し、飼育する。鎌倉に出かけ、建長寺の裏山に上る。秘密の場所で持ってきたお菓子を食べ、密かにタバコを吸う。お菓子といっても、チョコでありスナックであり、ときに苺であったりもしますが、時代を感じさせるようなものではありません。そういう意味で、極めて長閑なのです、途中までは・・・

最期まで読んで、予想していたように楽しい話ではなかったことに驚きます。確かに広義のミステリに分類することもできますが、純粋に文芸作品として読むのが正しく、例えば松本清張の『鬼畜』『影の車』『霧の旗』といった作品を思い浮かべてもらったほうがいいと思います。正直、苛つき、お腹が捩れそうになり、途中から緊張感というかむしろ不快感に近い気持ちを抱いて読み進め、最後に息もつかせぬ思いで頁を繰るのですが、読み終えた充実感というよりは、なんともいえないしこりが残る、そういう物語です。

その原因は、すべて一人の少年、主人公・慎一の暗い性格にあるのですが、それにも関わらず、この小説は傑作だろうな、と思うわけです。先ほど、松本清張の作品をあげましたが、むしろ貴志祐介『青の炎』のほうが近いかもしれません。無論、主人公の年齢は慎一の方が遙に幼いのですが、あくまで子供が主人公であること、全体に漂う暗さと緊張感は、後者に近いかな、と。

最後になりますが、全体は第一章~第五章、終章という構成で、初出は「別冊文藝春秋」2009年11月号~2010年7月号です。

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紙の本月と蟹

2011/07/24 17:45

少年時代の繊細な心を思い出す

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る

前回144回直木賞受賞作。

主人公は、父親を早くに亡くし母親とともに都会から父の実家に引っ越してきた小学生の慎一。

物語は慎一とその友人の交流、祖父との関係、母親との距離感などを中心に描かれていきます。

小学生といえば多感な時期。物語の中で、主人公の心の中での葛藤が描かれていますが、これは誰もが経験していることではないでしょうか。自分の言葉と裏腹に、心の中では違うことを考えてしまっている自分に対する嫌悪感などです。

その心理描写がとてもうまいので、自然と物語に引き込まれていきます。

この物語の最初から出ている、「蟹」。タイトルにもある蟹ですが、これを主人公たちは「ヤドカミ様」として自分たちのひそかな願いをかなえてくれる存在にしてしまいます。

蟹の動きと心の動きがリンクして、不思議な感覚にとらわれます。

最後はある事件が起き、少年の心に傷を刻むことになってしまいます。

少年時代には、自分の身近に起きた色々な事件が、とてつもなく大きく感じられ、傷つくこともあるでしょう。それが大人になるにつれ、そういう繊細な心をなくしてしまう人が多いはず。

少年時代の繊細な心を思い出すためには、良い一冊です。

龍.

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紙の本月と蟹

2010/11/27 17:54

行き場のない子どもの哀しみ

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

父親の勤める会社の倒産に伴い、
鎌倉の祖父の家に引越した慎一は
その父親も亡くなり、母のアルバイト料と
祖父の年金で細々と暮らしています。

一方、関西から転校してきた春也は
両親からの虐待を受けています。

転校生である二人は新しい学校にもなじめず
同級生からも疎ましがられる存在です。

不幸を一身に背負って行き場をなくした少年という
道尾秀介のいつものモチーフを
淡々と描きながら、心に沁み込むように描きだします。

10年前、祖父の船に仕事で同乗していた女性が
死亡する事件があり、その女性の娘・鳴海が同級生であり
その父親と慎一の母親が付き合っている複雑な関係から
導き出される鳴海の心情もうまい。
女の子だからこそ、強く細やかな心で対応していきます。

このような子どもたちの心が切なく迫ります。

また、彼らが考え出した、ヤドカリをあぶりだし
「ヤドカミ様」と名付け、お願いをする遊びも
本気の混じり具合が絶妙です。
ミステリー要素は少なく、二人の少年の行方を
息を殺して読み進めるような、静かな展開。
ラストは優しい物語になっています。

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