電子書籍
世界を知る力 日本創生編
著者 寺島実郎 (著)
いま日本中の人々が、不安、苦悩、孤独感にさいなまれている。「日本は再生できますか?」――。われわれに問われているのは、筋道立った思考の再起動である。親鸞聖人の思想、幕末の志士たちの生き様、そして関東大震災の教訓……。私たちの歴史を振り返ることで見えてくるものは何か? それはユーラシア大陸東端に位置する日本の地政学的な可能性であり、「原子力という火」と対峙する近代主義者としての覚悟である。親鸞聖人がいうように、「絶対他力」からはじめて自立自尊の大切さが浮かび上がるのだ。いま本気で考えるべきことは何か? 産官学のネットワークのなかで独自の思考を積み重ねてきた全体知の巨人が提示する真の復興構想、新しいエネルギー戦略とは? 『世界を知る力』待望の続編。
世界を知る力 日本創生編
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紙の本世界を知る力 日本創生編
2011/09/24 21:42
政治家のせいだけにしていないだろうかといささか反省も強いられた
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白く読んだ。読後感は二点である。
一点目。著者の主張は「今回の災害を奇貨として、再度日本を考え直す良い機会とすべきである」という点に尽きると読んだ。災害には物事をリセットする面はあると思う。
勿論「だから災害が来てほしい」と言っているわけではない。リセットには非常なるコストが掛るし、大変な不幸を背負う人が膨大に産まれる。来ない方が良いに決まっている。但し、「来てしまった災害」をどう捉えるのかと考えた場合には、そう前向きに考えるしかない。そう考えた上で、どのような構想力を持って、リセット後の世界を考えていくのか。そこが今回の日本の試練であり、著者は本書で自身の考えを述べている。
振り返って新聞から見えてくる日本の議論から、リセット後のビジョンはなかなか見えてこない。政治家のせいだけにしていないだろうかといささか反省も強いられた。
二点目。原子力に関する著者の意見は、まだちょっと楽観的ではないかと気になった。原子力という魔物は、稼働中だけではなく、いわゆる「使用済み燃料棒」という形で、未来に向かって問題を残していくということが今回はっきりと見えてきた。
僕も不勉強で、「使用済み」という言葉に惑わされてきた。
「使用済み」というと、既に中身がスカスカなものをイメージしてきた。実際にはむしろ「使用後をどうするのか」ということが正に未解決であり、その未解決を未解決のまま見切り発車してきたことが日本の原子力行政だったということなのだと思う。本書には、その点の視野が若干欠けてはいないか。
いずれにせよ、読んでいて元気が出る本である。それが最後の読後感だった。