電子書籍
あの事件を追いかけて
犯行声明で自らを酒鬼薔薇聖斗と名乗った少年Aが切断した被害者の首を持って向かったのは、殺害現場のタンク山とは別の「暗い森」だった。ロープを伝わって目的地の入角ノ池にまで降りたと供述している。確かに崖に近い急斜面に行く手を阻まれた。ロープが見あたらなかったため、木から木へと半分落ちるようにして池に近づく。薄暗い森に響くのは、池にいる野鳥の羽ばたきだけ。じつは近隣住民さえ存在自体を知らない人が多い。整備されていない森の中にひっそりとあるからだ。池の突端は水を含んだ泥に覆われ油が浮いていた。カメラを構えて踏み出すとくるぶしまで足が沈んだ。足音に驚いたのか水鳥もおらず、枯れたアシとうっそうとした木々、暗い水面だけが視界に飛び込んできた。もちろん誰もいない。この森への入り口となる友が丘西公園は、見晴らしのいいことから地域のバーベキュー大会などが開かれていたという。また、そのすぐ近く、首の切断に使った糸ノコギリを投げ捨てた向畑ノ池では、年末のカウントダウンも開催されていたと聞く。いわば住民の憩いの場を素通りして、少年Aは生首を“鑑賞”するために崖を降りていったのである。犯行声明で自らを酒鬼薔薇聖斗と名乗った少年Aは、「懲役13年」と題する作文で、ダンテの次のような一文を引用した。「俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでしまった」(本文「90年代 酒鬼原聖斗」より)
あの事件を追いかけて
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
電子書籍あの事件を追いかけて
2018/07/11 20:02
後世に残すべき記録
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
単なる興味本位で書かれた物ではないことがわかる、後世に残すべき記録。ホテルニュージャパンの廃墟に潜り込むところで、警察に呼び止められるも、それを説得して廃墟に入ったのには考えさせられた。火災当時にはマスコミが消火の最前線にまで入って行ったが、現在そんなことをしたら又ネットで叩かれるのだろう。
紙の本あの事件を追いかけて
2017/05/10 04:40
1963年の
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉展ちゃん事件から、犯罪報道が劇場型になってしまった気がする。同じ被害を生まないためのメディアのあり方について考えさせられる。